離婚する理由はさまざまですが、子供がいた場合は養育費についての取り決めを行うケースがほとんどです。
離れていても我が子は我が子。
親としての扶養義務もありますが、養育費をきちんと払い続ける行為は愛情表現の一つでもあります。
でも「再婚したい…」と感じるようになると、養育費が負担に思えてしまうのも仕方のないことかもしれませんね。
今回は養育費の減免など実際の手段も含めつつ、養育費を払いながらの再婚についてお伝えしていきます。
Contents
養育費を減額・打ち切りにできる3パターン
ここでは、養育費を減額もしくは打ち切りにできるパターンについてお伝えします。
とはいえ、「養育費」は配偶者のために支払うものではなく子供のために支払うもの。
「養育費」とはまだ社会的に自立できない、親の保護を必要とする子供(「未成熟子」と呼びます)を監護教育するために必要な費用のことを呼びます。
親は未成熟子に対し、「絶対的扶養義務・生活保持義務」があります。
これは親(扶養義務者)と同じ程度の、かつ文化的で最低限の生活水準を維持できるようにしなければならない、という義務です(民法877条1項、820条)。
たとえ離婚で離れ離れになったとしても、血の繋がりまで断たれるわけではありません。
扶養義務について、前提として覚えておいてくださいね。
元配偶者が再婚|再婚相手が養子縁組をした場合
養育費の減額・打ち切りが認められる理由の1つ目は、元配偶者が再婚し、その相手が子供と養子縁組をした場合です。
元妻が新しい夫を得て、その夫が子供と養子縁組した場合を例に挙げましょう。
この場合、新しい夫は養子縁組をすることにより、元妻と共に扶養義務者となります。
元夫から扶養義務が移動する形となるため、それを理由に減額や打ち切りが認められることが多いのです。
ただ再婚相手が養子縁組をしなかった場合は、扶養義務の移動がないので引き続き養育費を支払う必要があります。
また、養子縁組をして減額できる条件が揃った場合でも、相手の経済力によっては大幅な減額は認められないことがあります。
病気で働けない、などの状況では認められないこともありますので注意しましょう。
自分が再婚|相手との間に子供が生まれた場合
養育費の減額や打ち切りが認められる理由の2つ目は、自分が再婚して相手との間に子供が生まれた場合です。
ここでは、元妻が引き取った子供に対して養育費を払っていた男性を例に挙げましょう。
新しい妻との間にできた子供に対しても、元妻との間にできた子供と同様に扶養義務が発生します。
この場合は扶養義務を負う人数が増えますので、減額が認められることが多くなります。 スポンサーリンク
自分が再婚|再婚相手の扶養義務に問題がある場合
養育費の減額・打ち切りが認められる理由の3つ目は、再婚相手の扶養義務に問題がある場合です。
こちらも、元妻が引き取った子供に対して養育費を払っていた男性を例に挙げます。
なおかつ、再婚相手が子供連れで男性とは養子縁組をしていない場合です。
養子縁組をしていないので、相手の子供に対して扶養義務は発生しません。
扶養義務は再婚相手とその元夫にある状態です。
ただ、再婚相手が病気などで働けず子供に対しての扶養義務を全うできなくなってしまった場合、妻に対しての扶養義務を認められて減額を受けられることがあります。
※ほかにも自身の失業や事業の倒産など、経済状態によって減額が認められる場合がありますが、主旨にそぐわないため今回は省略しています。
養育費を払いながら再婚するのはキツイ?
養育費を支払いながら再婚をするというのは、やはりキツイことなのでしょうか?
増額の可能性もある
養育費について、これまで減免や打ち切りの可能性をお伝えしました。
しかし一方で、元配偶者の状況によっては増額があることも考慮しておく必要があります。
元配偶者が失業や健康状態の問題で働けなくなった、子供の進学などで資金が必要になったケースなどです。
元配偶者がシングルで育てていて、自分の扶養義務が続いている状況では応じる必要は出てくるでしょう。
その場合にどのラインで折り合いをつけるのかは、元配偶者の方と話し合うしかありません。
自分の状況を伝え、納得できる答えを出しましょう。
相手との話し合いは必須
納得して支払い始めた養育費、一人暮らしならなんとかなったものの再び家庭を持つとなると負担になってしまうことがあります。
実際に、再婚相手との間でケンカの種になる話は少なくありません。
シングルとして自分が育てていなくても、養育費を支払っている子供がいる状況での再婚は相手に負担を強いてしまうもの。
自分以上に相手に覚悟が必要な結婚です。
そんな状況において何よりも必要なのは、包み隠さず相手に話しておくことです。
別れたくない、離れて行くのが怖い、といった理由で隠したり嘘をついたりしたまま再婚しても良いことはありません。
相手に対して不誠実であるのはもちろん、二度目の離婚にも繋がりかねません。
子供のいないバツイチに比べて避けられがちなのは確かですが、再婚相手として選ぶべき相手は「それでも構わない」と言ってくれる人です。 スポンサーリンク
事情変更があれば減額申し立ては可能|上手に利用しよう
養育費は離婚の取り決め時から状況に変更が起きた場合は、減額申し立てをすることが可能です。
再婚や収入の増減など、状況に応じて養育費も増減させることができます。
再婚したい気持ちを養育費の支払いを理由に断ってしまうのは残念なこと。
制度を上手に利用しましょう。
【参考資料】
民法877条1項
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC877%E6%9D%A1
民法820条
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC820%E6%9D%A1
裁判所|養育費(請求・増額・減額等)調停の申立て
http://www.courts.go.jp/saitama/saiban/tetuzuki/youikuhinomousitate/index.html