「DV」という言葉を聞いたことはありますか?
DVとはDomestic Violence(ドメスティック・バイオレンス)の略称。
配偶者(事実婚、元配偶者を含む)や恋人など、親密な関係にある・あった人から振るわれる暴力のことを呼びます。
近年広く知られるようになったので、聞いたことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
では、「デートDV」はどうでしょうか。
こちらもDVの中の一つですが、「交際中のカップルの間で起こる暴力」のことを呼びます。
DVの「暴力」とは、身体的暴力だけでなく精神的暴力・経済的暴力なども含まれます。
殴る蹴るが暴力なのは分かるけど、精神的?経済的暴力って?と思われる方のために、今回はデートDVにおける暴力について解説していきます。
Contents
デートDVの原因と例
デートDVは社会的・家庭的背景を原因として起きるものです。
社会的背景には、社会的な性差別(ジェンダー・バイアス)や学校でのいじめや体罰、暴力を暴力で解決しようという風潮の容認があると言われています。
また家庭的背景としては、「男は男らしいもの」「女は女らしいもの」と押し付ける教育や躾が挙げられています。
こうした家庭で育った男性は、男らしくリードしなければ、相手に言うことを聞かせなければと考え、攻撃的・威圧的になる傾向があります。
一方、女性は男性へ甘えたり頼ったりする気持ちが強くなります。
関係性が対等でなく支配関係になってしまうことが、デートDVを引き起こす原因の一つと言われています。
ここでは見過ごされがちな3つの暴力について、例を挙げてご説明します。
社会的な暴力
- 他の異性と口をきくな、と約束させられる
- SNSを常に監視している、LINEの既読がつかないと怒る
- 自分が連絡したら必ず出ろ・すぐに返信しろ、などと強要する
こんな風に相手の行動を制限するものも、デートDVの一つです。
他にも友達と遊ぶのを厳しく制限・禁止したりすること。
相手のプライベートなメールやLINEの内容をチェックしたり、一緒にいない時に「どこで何をしているのか報告しろ!」と強要したりする行為も含まれます。
精神的な暴力
- デブ・ブス・バカなど、傷つくような言葉を投げる
- 大声で怒鳴り散らす
- 大切にしているものを壊す、捨てる
- ペットや家族などに危害を加えると脅す
- 殴る真似や物を壊す振りをする
脅したり言葉で傷つけたりと、心に危害を加える精神的暴力もデートDVの一つです。
また、呼びかけても答えない「無視をする」行為も含まれます。 スポンサーリンク
経済的な暴力
- 高いプレゼントを無理やり買わせる
- デートの費用を払わせる、無理におごらせる
- 相手のお金を勝手に使う
- アルバイトさせて給料を巻き上げる
お金に関してもデートDVとなるものがあります。
交際中のカップルではプレゼントのやり取りや食事の機会も多くなりますが、そこに無理や強要が加わるのは不自然です。
いつも自分ばかり支払わされている、「たてかえて」と言われてたてかえたけど、いつまでも払ってくれない…などの場合も含まれます。
身体的、性的暴力はもちろんデートDVです
上の3つでは見落とされがちなものを取り上げましたが、もちろん身体的・性的暴力もデートDVです。
どちらも相手の生命や尊厳を大きく損なう行為です。
身体的暴力には殴る蹴るなどの他、突き飛ばす・物を投げつける・髪を引っ張る・縛る・水を掛けるなどの行為も含まれます。
また性暴力には性的行為の強要の他にも、避妊に協力しない・無理やりアダルトビデオなどを見せる、といったものも含まれます。 スポンサーリンク
DVは予防できる?|加害者は「特別な人」ではない
DVにしてもデートDVにしても、相手を傷つけるなんてきっと普段からひどい「特別な人」なんだろう、と思ってはいませんか?
しかしDV(一般的なDV・デートDVを含め)の加害者は殆どが、どこにでもいる「普通の人」。
年齢や学歴、職業や地位などに関係なく存在しています。
それどころか、周囲には人望のある、とても暴力を振るうようには見えない「いい人」で通っていることも珍しくありません。
そのため、被害者側が暴力を訴えてもすぐには信用されないこともあるのです。
DV加害者の殆どは暴力が犯罪になることを弁えていて、地域や職場では何も問題を起こすことなく生活しています。
暴力は交際中の相手、恋人、配偶者などごく身近な相手にしか振るわないのです。
そして、自分を正当化するためにさまざまな理由を口にします。
「君のためを思って叱ってやったんだ。文句を言われる筋合いはない」
「お酒を飲んでいたから、よく覚えていない。煩く言うなら別れる」
「カッとして、ちょっと手がでてしまっただけ。お前が殴らせるようなことを言うから悪いんだ」
など、自分の思うように相手をコントロールしようとします。
でもその全ては言い訳です。被害者に「私が悪かったんだ…」と思わせるのが魂胆なのです。
予防するためには、こちらが知識を身につける必要があります。
DVに対して学び、自分自身を尊重する考えを持つことが第一歩です。
自治体によっては、若い方を対象としたDV予防セミナーを実施しているところもあります。
お住まいのところで実施されているか、各自治体にお尋ねください。
千葉県|若者のためのDV予防セミナー
https://www.pref.chiba.lg.jp/dankyou/dv/dvseminar/index.html
デートDVに悩んでいるなら相談を!
もし「デートDVの被害に遭っている」「彼の暴力に苦しんでいる」のなら、迷わず相談窓口へ連絡しましょう。
自分だけでなく、友達や家族が苦しんでいる場合の相談を受け付けてくれるところもあります。
ここに紹介した機関以外にも、各都道府県や自治体ごとにデートDVの相談を受け付けている機関やシェルターなどの施設があります。
- デートDV110番(0120-51-4477)
「NPO法人エンパワメントかながわ」が開設した、デートDV専用の相談窓口。
対象は全国なので、地域を問わず相談できます。
相談員の方々は、デートDVに関する研修を受けています。
デートDVについての更に詳しい情報・チェックリストもあるので、知識を深めたい方にもおすすめです。
http://ddv110.org/ - 都道府県警察総合相談窓口
対策窓口が設置されている都道府県もありますが、分からない場合はまずこちらへ相談を。
相談内容にあった機関を紹介してもらえます。
http://www.npa.go.jp/safetylife/soudan/madoguchi.htm - 性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103(ハートさん)」
各都道府県警察の性犯罪被害相談窓口直通の短縮ダイヤル番号です。
性暴力の相談の場合は、こちらを選びましょう。
https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html
一人で悩まず、解決しようとせず、力になってくれる人や機関に頼ることが大切です。
一緒に解決しましょう。